SonyMusicFoundation|公益財団法人ソニー音楽財団

齋藤秀雄メモリアル基金賞

第13回 齋藤秀雄メモリアル基金賞

第13回 齋藤秀雄メモリアル基金賞

2014年12月17日 東京にて行われた贈賞式
左より中鉢 良治(当財団理事長)、大友 肇、 堤 剛、
上岡 敏之、 岡 路子(当財団常務理事)の各氏

公益財団法人ソニー音楽財団(英文名称:Sony Music Foundation)[理事長:中鉢良治]は、2002年(平成14年)に、若手チェリスト、指揮者を顕彰すべく「齋藤秀雄メモリアル基金賞」を創設しました。
この度、選考委員会において審議の結果、第13回 齋藤秀雄メモリアル基金賞 チェロ部門受賞者は大友 肇(おおとも・はじめ)氏、指揮部門受賞者は上岡 敏之(かみおか・としゆき)氏に決定し、その贈賞式が12月17日、東京「マキシム・ド・パリ銀座」にて執り行われました。

受賞者

大友 肇(チェロ)
上岡 敏之(指揮)

選考委員

<永久選考委員>
小澤征爾 氏(指揮者)
堤 剛 氏(チェリスト)

<任期制選考委員(3年)>
奥田佳道 氏(音楽評論家)
那須田務 氏(音楽評論家)
渡辺 和 氏(音楽評論家)

●楯
●賞金 当該年毎に1人500万円(総額1,000万円)

贈賞の言葉

  • 堤 剛

    大友 肇氏への贈賞にあたり
    堤 剛

    音楽家であり才能あふれた器楽奏者である大友さんのチェリストとしてのキャリアは弦楽四重奏と一心(身)一体である、と言って良いでしょう。現在クァルテット・エクセルシオのメンバーとして活発な演奏活動をされておられますが、特筆されて良いのは室内楽という音楽的な喜びは大きくてもその活動を支えて行くための様々な難しさが伴う面を考えますと本当に大変な道を選ばれたことです。しかしその幾多の困難を乗り越え、クァルテット・エクセルシオは今年結成二十周年を迎えられ、これ迄以上に精力的に幅広い活動をされています。カルテットとしてのコンサート活動はもちろんのこと、アウトリーチの活動や、東京芸術大学での室内楽の授業などを行っていて、本当に素晴らしいと思います。また、大友さんは他のメンバーから親しみを持って「お父さん」と呼ばれている頼り甲斐のあるお人柄の持主です。

    四人のメンバーが桐朋学園の出身というのを含めて我が国が産んだ初めての国際的な弦楽四重奏団である東京クヮルテットと重なって見える事も多々あります。この二つのグループはそれこそ「弦楽四重奏をどうしてもやりたい。そこで何かを究めたい」という熱い思いを持って頑張り、経済的困難にも立ち向かい弦楽四重奏団としての活動のみでキャリアを積み、芸術的高みに達せられました。誠に敬服の至りです。

    桐朋学園音楽部門の創立者のお一人がこの基金賞に名前を頂いている齋藤秀雄先生でした。先生は日本の音楽界にとって偉大なパイオニアであられましたが、チェリストとしての活動も真に幅広く、ソリストとして、オーケストラの首席奏者として、室内楽奏者として、そして名教授として大きな足跡を残されました。その中でも先生が一番お好きで、しかも自分に一番向いていると思われたのが室内楽の分野でした。

    桐朋学園でチェロや指揮のレッスン、オーケストラの指導と並んで、それこそ寝食を忘れて室内楽のコーチングをされておられました。私達に室内楽の本当の意味、音楽的な深味とおもしろさを教えて下さったように思います。そのような意味でも今回大友さんがこの基金賞を受賞されます事は真に相応しく、今頃先生も天国で「自分の目的と夢を実現して呉れる人が受賞されて本当に良かった!」と思って下さっていることでしょう。大友さん、お目出度う御座居ました!

  • 上岡 敏之氏への贈賞にあたり
    小澤 征爾

    上岡さん、齋藤秀雄メモリアル基金賞のご受賞、おめでとうございます。

    上岡さんは日本でオーケストラを指揮した事なくドイツに渡り、ハンブルクの大学で2年間学ばれました。

    劇場にコレペティトールとして入りその後音楽監督にまでなった劇場出身の日本人の指揮者として初めての人です。

    オペラのみならずシンフォニーの指揮でも注目を集めているのは、音楽の勉強をしたのが海外、とりわけヨーロッパだったからでしょうか。

    日本で最近まであまり知られていなかった理由はこんな所にあったのかもしれませんが、今後もご自身で音楽の道を拓いていって欲しいと思います。

  • 堤 剛

    上岡 敏之氏への贈賞にあたり
    堤 剛

    齋藤秀雄先生はよく、音楽というのは言葉と非常に密接に結びついていて、たとえばドイツの音楽を勉強するなら、ドイツ語ができなければならない、と仰っていました。

    上岡さんは、オペラの分野でも大変ご活躍されていて、そういう意味でもこれから益々音楽界に貢献してくださるのではないかと思っております。そのためにも、このご受賞が一つのステップストーンになればいいなと思っております。

    これからも益々のご活躍をお祈りしております。この度はお目出度う御座居ました。

受賞の言葉

  • 大友 肇

    大友 肇(チェロ)

    この度はこのような名誉ある賞を頂けることになり、本当にありがとうございます。

    これまで素晴らしいチェリストの方々が受賞されたなかに加えていただくのは大変な光栄であります。

    私や私の弦楽四重奏の音楽活動を支えてきて下さった多くの方に深く感謝申し上げたいと思います。

    全ての方のお名前をここにあげることは出来ませんが、特に、チェロの最初の手解きから師事いたしました故津田朝子先生と故井上頼豊先生、桐朋学園在学中に師事いたしました勝田聡一先生にはひときわ感謝を申し上げたいと思います。

    私は齋藤秀雄先生に直接ご指導いただくことは出来ませんでしたが、その教えを受けられた多くの先生方に折々でご指導いただけたことは、私にとって大切な財産となっています。

    齋藤秀雄先生が大切にされた一つに室内楽を学ぶことがあったわけですが、ここでとりわけ申し上げたいのは、私のような室内楽を専門に活動をしている者にとって、室内楽でしか表現出来ないもの、室内楽を学ぶことから生み出せる音楽芸術があるということを追究してきたことが、このような形で評価をいただけたことは大きな喜びであり、今後の日本の室内楽の分野において、あるいは多方面に向かってさらに広くその音楽的価値が深まっていくきっかけとなるに違いないと思いますし、やはり室内楽を愛して学んでいる若い芸術家にとって、励みになることと思います。

    弦楽四重奏団は、4人の演奏者に強い意思があること、音楽的な完成度を常に高めていくこと、弦楽四重奏としての確固たる表現方法を発見すること、そして運営の問題を解決できないと、継続は大変難しいです。しかしながら、私たちは常設であることの価値を強く信じて、常設の弦楽四重奏団が社会的に存在できる立ち位置を獲得するために、多くの方にご支援、ご協力をいただきながら活動を続けてきました。お陰さまで、弦楽四重奏団クァルテット・エクセルシオのメンバーとして活動してまいりまして、ちょうど今年結成20周年を迎えられたところでの受賞は、よりいっそうありがたいことで、喜びもひとしおです。

    室内楽、特に弦楽四重奏を自分の音楽の在りかとしてまいりましたが、過去から現在にかけて、常設の弦楽四重奏団が自立的に活動できる状況が日本には存在しませんでした。

    日本でも常設の室内楽団体が継続的に活動できる環境が僅かずつでも形成されることを願って、道なき道を開拓しながら進んで参りました。この決して楽ではない仕事にそれぞれの人生をかけて共に進んでくれている仲間に敬意を表します。そしてこれからもさらに険しい道に挑戦し続けることになりますが、今、このように私たちの仕事を認めていただけたことを、仲間と共に喜びを分かち合いたいと思います。

    最後に、傍で支えてくれている両親や家族たちへ、偉大なる心で惜しみなく私の仕事に理解と協力を示してくれていることに心から感謝しています。

    齋藤秀雄メモリアル基金賞の名に恥じないようなチェリスト、そして芸術家になれるよう全力で音楽に没頭してまいります。

    ありがとうございました。

  • 上岡 敏之

    上岡 敏之(指揮)

    この度、齋藤秀雄メモリアル基金賞に選んでいただきましたことは、私といたしましては大変光栄に存じますが、正直申し上げてちょっと驚き持って受賞の報を聞きました。

    と申しますのは、私自身、齋藤先生のことを存じ上げませんし、齋藤先生の教育とはいわば全く反対のところにおりまして、東京芸大を卒業後、すぐにドイツに渡り、オペラ座での仕事を中心に過ごしてきましたので、日本での指揮活動も近年になって年に1~2回、複数のオーケストラから招いていただく程度しかやってきておりませんでした。また、今回私を選んでくださいました小澤先生とも1度お会いしただけでほとんど接点がありませんでしたので、その様な小澤さんと他の審査員の方々が私の指揮に注目してくださり、評価して下さったことにちょっと驚きを感じている次第です。

    齋藤先生は、指揮法という1つのメソードを確立されて、それを元に厳格な教育をされたと聞いておりますが、その教育を受けられた小澤さんをはじめ多くの指揮者が、誰ひとり同じではなく、それぞれの個性を持って花開かれ、国内外で活躍されている現状を拝見いたしますと、いかに偉大な教育者であったかという事をうかがい知ることが出来ます。

    ドイツに住んで30年、日本に住むより長い年月をドイツで過ごしていますが、自分の国でこのような名誉のある賞をいただいたことは大変光栄ですので、2016年より新日本フィルの音楽監督にも決まったことですし、日本での活動にももう少し力をいれて、これからも幅広く音楽界に貢献したいと思います。

    今回、この様な賞をいただいたことで、これからの活動を更なる努力を持って行うようにとの叱咤激励をいただいたとも感じますので、その様な思いで頑張っていきたいと思います。

プロフィール

  • 大友 肇

    大友 肇(チェロ)

    1994年に桐朋学園大学在学中に結成された、日本では数少ない常設の弦楽四重奏団「クァルテット・エクセルシオ」のメンバー。

    1996年第1回東京室内楽コンクール第1位。同年第2回大阪国際室内楽コンクール弦楽四重奏部門第2位。’97年青山音楽賞奨励賞(現バロックザール賞)、1997、1998年リゾナーレ音楽祭にてマイカル賞、2000年緑の風音楽賞受賞。同年難関の第5回パオロ・ボルチアーニ国際弦楽四重奏コンクール最高位、同時にサルバトーレ・シャリーノ特別賞を受賞。
    2009年には第19回新日鉄音楽賞「フレッシュアーティスト賞」受賞、クァルテット・エクセルシオが全曲演奏した作曲家グループ「クロノイ・プロトイ」の公演が、サントリー芸術財団から第9回佐治敬三賞を受けた。

    これまでにサントリーホール チェンバーミュージックガーデン、NHK(NHK・BSクラシック倶楽部、名曲アルバム、FMリサイタル)第82回新日鐵プロミシング・アーティスト・シリーズ、2002年カザルスホールで行われた「プロジェクトQ」に出演。また、第3回宮崎国際室内楽音楽祭、第3回別府アルゲリッチ音楽祭、ゆふいん音楽祭(第25、27、30回)、第32・33回草津国際アカデミー&フェスティバル 、せんだいクラシックフェスティバル(2006,2012)など多くの音楽祭に参加。
    この他、第一生命ホール(晴海)「クァルテット・ウェンズデイ」「クァルテット・ウィークエンド」シリーズ、りゅーとぴあ(新潟)ハイドン(2009〜10年)・モーツァルト(2010〜11年)・べートーヴェン(2011〜12年) チクルス,ベートーヴェン弦楽四重奏曲・モーツァルト「ハイドンセット」全曲演奏会(立川)、直方谷尾美術館室内楽定期演奏会(2010年〜)、西南学院大学(福岡)主催コンサート(2008年〜10年、2014)に出演。  紀尾井ホール「日本の作曲 21世紀への歩み」シリーズ、国際現代音楽協会「ワールド・ミュージック・デイズ」、日本作曲家協議会「アジア音楽祭 2003 in 東京」、第2回東アジア国際現代音楽祭に出演。
    一方で、幼児、学生、一般大学をはじめさまざまなコミュニティで室内楽の聴衆の和を広げていく活動にも力を注いでおり、ソニー音楽財団の「Concert for KIDS」シリーズや「0才まえのコンサート®」にも登場している。

    現在、東京芸術大学室内楽講座の講師及び、サントリーホールの「室内楽アカデミー」で、コーチング・ファカルティを勤め、後進の指導にもあたっている。

  • 上岡 敏之

    上岡 敏之(指揮)

    上岡敏之は、オペラ、コンサートの両面において、大きな成功を収め、彼の高い音楽性と、きめ細かい解釈が、マスコミと聴衆双方に絶賛されている。2007年10月および2010年10月には、手兵ヴッパータール響を率いて日本ツアーを行い絶賛を博した。このコンビによるCDは、コロムビアとオクタヴィアより8枚リリースしているほか、自身のソロピアノCDも2枚発売している。

    東京芸術大学で、指揮、作曲、ピアノ、そしてヴァイオリンを並行して学び、1982年、名誉ある安宅賞を受賞。2年後には、ロータリー国際奨学生として、ハンブルク音楽大学に留学し、クラウスペーター・ザイベルに指揮を師事。キール市立劇場のソロ・コレペティトール、およびカペルマイスターとして、歌劇場でのキャリアをスタートさせた。1992年から1996年まではエッセンの市立アールト劇場の第一カペルマイスターを務め、その後、8年間にわたり、ヴィースバーデンのヘッセン州立歌劇場の音楽総監督を務めた。1998/99シーズンより、ヘアフォートの北西ドイツフィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者も歴任。2004年からは、ヴッパータール市立歌劇場音楽総監督に就任。2009年から5年間ザールランド州立歌劇場音楽総監督に転身する際に、ヴッパータール市からの強い要請を受けてヴッパータール響の首席指揮者も兼任した。そして、2014年シーズンよりヴッパータール市立歌劇場のインテンダントに就任したのを機に、同歌劇場の音楽総監督にも返り咲き、現在に至っている。

    また、バンベルク交響楽団、ケルン放送交響楽団(WDR)、中部ドイツ放送交響楽団(MDR)、バイエルン放送交響楽団、シュトゥットガルト放送交響楽団、オランダ交響楽団、NHK交響楽団、読売日本交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団など、国内外で数多くのオーケストラに客演。2008年6月には、新国立劇場においてヴェルディ作曲「椿姫」を、11月には、日生劇場においてモーツァルト作曲「魔笛」を指揮し、絶賛を博した。

    上岡敏之は、多忙な中、後進の育成にも力を注いでおり、1999年から2000年まではドイツ音楽協議会の指揮者フォーラムを主宰。ハンブルク音楽大学では室内楽と伴奏の講師を務め、
    2000/01年には、フランクフルト音楽大学のオペラクラスの代理教授を引き受けた。
    2004/05年の冬学期からはザールブリュッケン音楽大学の指揮科正教授の要職にある。

    2007年6月、第15回渡邊暁雄音楽基金 音楽賞・特別賞を受賞。

    (2014年11月現在)