SonyMusicFoundation|公益財団法人ソニー音楽財団

齋藤秀雄メモリアル基金賞

第12回 齋藤秀雄メモリアル基金賞

第12回 齋藤秀雄メモリアル基金賞

2013年10月22日 東京にて行われた贈賞式
左より 岡 路子(当財団常務理事)、辻本 玲、堤 剛、
三ツ橋 敬子、中鉢 良治(当財団理事長)の各氏

公益財団法人ソニー音楽財団(英文名称:Sony Music Foundation)[理事長:中鉢良治]は、2002年(平成14年)に、若手チェリスト、指揮者を顕彰すべく「齋藤秀雄メモリアル基金賞」を創設しました。
この度、選考委員会において審議の結果、第12回 齋藤秀雄メモリアル基金賞 チェロ部門受賞者は辻本 玲(つじもと・れい)氏、指揮部門受賞者は三ツ橋 敬子(みつはし・けいこ)氏に決定し、その贈賞式が10月22日、東京「マキシム・ド・パリ銀座」にて執り行われました。

受賞者

辻本 玲(チェロ)
三ツ橋 敬子(指揮)

選考委員

<永久選考委員>
小澤征爾 氏(指揮者)
堤 剛 氏(チェリスト)

<任期制選考委員(3年)>
諸石幸生 氏(音楽評論家)
寺西基之 氏(音楽評論家)
奥田佳道 氏(音楽評論家)

●楯
●賞金 当該年毎に1人500万円(総額1,000万円)

贈賞の言葉

  • 堤 剛

    辻本 玲氏への贈賞にあたり
    堤 剛

    辻本さん、この度はお目出度う御座居ます。最近の活躍には本当に目を見張らせられるものがあります。幼い時からアメリカで育ち、7歳からチェロを始めた辻本さんは、若い頃からメキメキと頭角を現し、東京藝術大学を首席で卒業する前から大きな注目を集めていました。私は実際に演奏を聴いたのは兵庫県養父市で催されているビバホールチェロコンクールでした。その後、国内のコンクールでも立派な成績を収め、アルト・ノラスとアントニオ・メネセスという素晴らしくも辻本さんに打って付けの2人の先生に巡り合え、海外で研鑚を積めたのも幸運だったと思います。そのうえ日本では、山崎伸子先生の厳しいご指導を受けられ、それがあってこそ今の辻本さんがあるのだと思います。また音楽家としてはソロだけでなく、日本が世界に誇るヴァイオリニスト=音楽家、五嶋みどりさんの室内楽のパートナーとして実際の演奏を数多く経験できたのも貴重なことだったのではないでしょうか。さらに弦楽四重奏という室内楽での定期的な活動に加え、サイトウ・キネン・オーケストラに可能な限り参加して、大先輩たちや仲間からもいい刺激を受けながらオーケストラ・プレイヤーとしての勉強もされてきました。また、『及川浩治トリオBee』に参加するなど、枠に捉われない幅広い演奏活動にも取り組まれ、これらのすべてがソリストとしてチェロ協奏曲を演奏する時の辻本さんの力を更に高めることに生かされています。今後も、幅広い活動を続けながらも、努力、勉強、研究を怠らず、音楽家・演奏家として大きく羽ばたいていくことを期待しています。

  • 三ツ橋 敬子氏への贈賞にあたり
    小澤 征爾

    齋藤秀雄メモリアル基金賞の受賞、おめでとうございます。
    2010年に、私がサイトウ・キネン・オーケストラとカーネギーホールでブリテンの『戦争レクイエム』を演奏した際、三ツ橋さんは児童合唱の指揮で素晴らしい仕事をしてくれました。カーネギーホールの高いところに子供たちを配置したので、三ツ橋さんには難しいことがあったと思いますが、結果は完璧でした。
    三ツ橋さんは、音楽に対する姿勢がとても丁寧で、そこを私はとても尊敬しています。
    若い指揮者にいつも言うことなのですが、指揮者というものは色々なオーケストラを渡り歩いて客演しているだけでは伸びないものです。
    一つのオケと一緒に、緻密に音楽をやっていく経験が何より大事です。
    これからも良い音楽を作っていってください。

  • 三ツ橋 敬子氏への贈賞にあたり
    堤 剛

    三ツ橋さん、お目出度う御座居ます。「齋藤秀雄メモリアル基金賞」指揮部門では女性として初めての受賞となります。女性であるいう素晴らしさもありますが、それだけに大変なこともあるのではと想像しています。それを克服され、ここまで来られ、大活躍されていらっしゃることに大変感心いたしております。
    私自身は、子どものころから「子供のための音楽教室」でオーケストラの中で演奏しながら、指揮者の方々と一から一緒に勉強し、齋藤秀雄先生からご指導を受けてきました。齋藤先生は、楽器を演奏しながら指揮を教えてくださった先生でしたが、先生の指揮に対する情熱や、その他たくさんのことを教えて頂きました。指揮者の方々と一緒に勉強させていただくことで、先生の指揮や音楽に対する考え方を自分なりに理解できたのではないかな、と思っております。
    これからももっともっと頑張って、女性として指揮者として活動の場を広げていかれれば、小澤先生の贈賞のお言葉にあるように益々素晴らしい将来が開けると思いますし、この賞の受賞が少しでも今後へのステップになることを願っています。益々のご活躍を期待しております。

受賞の言葉

  • 辻本 玲

    辻本 玲(チェロ)

    この度はソニー音楽財団より「齋藤秀雄メモリアル基金賞」を頂くことになり、心より感謝を申し上げます。今まで支えてくださった先生方、共演させて頂いた先輩方、音楽仲間、そして家族に感謝の念の述べたいと思います。
    今、私がチェリストとして携わっているクラシック音楽はヨーロッパに起源をもち、これまでの作曲家と演奏家によって代々伝承されてきたものです。和声法、記譜法、チェロそのものの奏法も、長い年月をかけて新しいものを追い求めるように良くも悪くも発展してきました。もともとクラシック音楽の土俵がなかった日本において、最近では子どもたちが当たり前のように習いごとでクラシック音楽を始め、それを教育する素晴らしい先生がいて、そしてクラシック音楽が職業となりうる地盤があって、それを喜んでくれる観衆がいます。このような現実があるのは本当に幸せですし、その背景のひとつには、やはり齋藤秀雄先生のクラシック音楽への情熱、そして献身的なご指導があったからだと思います。
    私自身は残念ながら直接ご指導を受けることはできなかったのですが、齋藤秀雄先生に師事された先生方に教えを受けることができました。
    特に東京藝術大学に通っていたときに師事した山崎伸子先生からは私の音楽の基盤となる核を教えて頂きました。ソロはもちろん、室内楽でのバスを担当するチェロの役割を通して音楽の仕組みや様式観を学び、それまでは音から感じるものをがむしゃらに弾いていた私に、クラシック音楽が再現芸術であること、演奏家はあくまでも作曲家と聴き手の媒介者であるという観点から、演奏家にとってのあるべき姿を言葉で、そして先生の音楽に対する姿勢によって示してくださいました。
    卒業後は四年半の留学生活と演奏活動をする中でそのような課題を常に見つめながら音楽に接してきましたが、いつも親身になって相談にのって頂きました。芸術家、指導者として鑑のような存在で、今の自分があるのは先生のおかげです。
    また、7歳からチェロを始めて23年、たくさんの場所で勉強し、たくさんの先生にお世話になり、たくさんの音楽仲間と出会うことができました。その一つ一つの出会いが私の音楽を形成していると思います。これらすべての出会いに、あらためて感謝いたします。
    この栄誉ある賞を頂くことができて、今までやってきたことが決して間違いではなかったとの思いを強く感じております。そして今後もますます精進して誠実な音楽作りに専念し、いずれ齋藤秀雄先生のように後世に何かを伝えられるような存在になりたいと思います。

  • 三ツ橋 敬子

    三ツ橋 敬子(指揮)

    この度は「齋藤秀雄メモリアル基金賞」という名誉ある賞を頂くこととなり、大変光栄に思いますとともに、心より厚く御礼申し上げます。
    指揮者の道を歩みたいと、中学生の頃初めて手に取った齋藤秀雄先生の「指揮法教程」。なにか、とても厳かで尊いものに向かう旅の地図を手に入れたかのように興奮し、大切に頁を手繰り、少しでもその難解な中身を、そしてその向こう側にある世界の本質を欠片でも掴みたいと、無我夢中だったことを思い出します。私は残念ながら齋藤先生に直接お目にかかることの叶わなかった年代ですが、遍く種を蒔かれた齋藤先生の精神を受け継ぎ、それぞれの実を結ばれた、多くの素晴らしい先生方の教えを受けることができたのは大変幸せなことだと思っております。
    殊に私どもの世代においては、国の内外を問わず、指揮のいわゆるテクニックの象徴として認識されることの多い「指揮法教程」ですが、門下生でいらした諸先生方によって、またそれに触れた多くの方々によって、その名著のさらに向こう側にある世界、音楽の真髄への新たな扉が開かれたという印象を、私自身は強く持つようになりました。時を経てもなお変わらざるものと、より熟成されていくものの共存の中にこの名著と対峙できたことに感謝し、また、小澤征爾先生をはじめとする、真の音楽家の音楽への深い愛情に触れられたこと、その教えを受けられたえにしに感慨を深くしております。
    指揮者という藐然とした夢を描き始めてまだ20年足らず、若輩者の私がこのような賞を頂くことはまことに恐縮ではありますが、真摯に音楽と向き合い日々勉強を重ね、賞の名に恥じない指揮者になる努力を続けて行く所存です。音楽家として、芸術の道に生きたいと願う一人の人間、一人の女性として、僅かでも常に成長を目指し、もがき続けて行くことで、いつの日かささやかながら新しい世代への糧となれるように、精進して参りたいと思っております。これからもどうぞよろしくお願い致します。