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齋藤秀雄メモリアル基金賞

第8回 齋藤秀雄メモリアル基金賞

第8回 齋藤秀雄メモリアル基金賞

2009年12月11日 東京にて行われた贈賞式 左より岡路子(当財団常務理事)、堤剛、遠藤真理、山崎伸子、齋藤成人(当財団顧問)の各氏

財団法人ソニー音楽芸術振興会(英文名称:Sony Music Foundation)[理事長:大賀典雄]は、2002年(平成14年)に、若手チェリスト、指揮者を顕彰すべく「齋藤秀雄メモリアル基金賞」を創設しました。 この度、選考委員会において審議の結果、第8回 齋藤秀雄メモリアル基金賞 チェロ部門受賞者は遠藤 真理(えんどう・まり)氏に決定、12月11日、都内にて贈賞式が執り行われました。 尚、指揮者については、今回該当者はおりません。

受賞者

遠藤真理(チェロ)

選考委員

<委員長>
大賀典雄(指揮者・ソニー株式会社相談役・財団法人ソニー音楽芸術振興会理事長)

<委員>
小澤征爾 氏(指揮者)
堤 剛 氏(チェリスト)

●楯
●賞金 500万円

贈賞の言葉

  • 堤 剛

    遠藤 真理氏への贈賞にあたり
    堤 剛

    遠藤さん、お目出度う御座居ます!
    当賞にとりましても、大変相応しい方への贈賞が決まり、私どもも大変嬉しく存じます。
    そして今日ここにご出席されております、東京藝術大学教授の山崎伸子先生にもお目出度う、と申し上げたく存じます。
    齋藤秀雄メモリアル基金賞は、奥様の齋藤秀子様の御遺言と寄付金によって、財団法人ソニー音楽芸術振興会の中に理事長大賀典雄様のご尽力で設けられました。
    この賞には、偉大な音楽家、教育者、指揮者、チェリストとして多大な貢献をなさった故齋藤秀雄先生の教えを引き継ぎ、かつ拡めて行っていただきたいという考えがその礎に御座居ます。それ故今回山崎伸子先生が東京藝術大学でも教鞭をとられることによって、齋藤先生縁の桐朋学園以外でもその教えを力強く拡めて行ってくださっていることを大変嬉しく思います。
    今回第8回は、その山崎先生の厳しい御指導に見事応えられ、チェロ演奏家として花開き、見事な演奏活動を続けていらっしゃる遠藤さんの御受賞をとても嬉しく思っております。これを機に遠藤さんがますます大きく成長され、チェロ界のみならず音楽界全体の輝ける星として周囲を照らしていって頂きたいと思っております。
    また本年度の指揮者部門には残念ながら該当者がおりませんでした。我々は日本のクラシック音楽界に貢献できる優秀な人材を探し求めたいと思っておりますし、そのために力を尽くしたいと思っております。みなさまのお力添えをいただきながら、この賞の発展に努力する所存でおりますので何卒よろしくお願い申し上げます。
    遠藤さん、今日は本当におめでとうございました。

受賞の言葉

  • 遠藤真理

    遠藤真理(チェロ)

    この度齋藤秀雄メモリアル基金賞を受賞させて頂きますこと、お世話になりました先生方、応援してくださる皆様に感謝申し上げます。
    私の両親は音楽の世界とは無縁でしたが、お稽古の一つとしてチェロを習い始めました。自分自身まさか演奏家を志すとは思っていませんでした。芸高に進学することになったのも、今まで続けてきたのも、ただただチェロを弾くことが好きだったという理由からです。しかし芸高に入ると、周りは皆15歳までの人生で一山も二山も超えて来たような独特な雰囲気があって、私はこれでよいのだろうか…と自問する毎日でした。高校一年生で参加した「サイトウキネン室内楽勉強会」では10日間に渡って音楽の作り方をご指導いただき、仲間と共に音楽を創る大変さと喜びを学びました。何よりも音楽を創る真摯な姿勢こそが西洋音楽を学ぶ東洋人には大事だ、ということを教わったように思います。その後ザルツブルグ留学を経て、ウィーンでコンチェルトを弾かせていただく機会を得ました。オーケストラの皆さんに私の手の小ささをびっくりされましたが、小柄な自分だからこそできる表現や身体の使い方があるのではないかと思っています。身体の大きなヨーロッパ人に対抗するのではなく、自分自身にできる表現や、もっと深いものをこれから探求していければと思います。
    こうして振り返ると非常に幸運なことに、自分の身近には常に素晴らしい仲間やお世話になった先生方がいました。ビシバシ鍛えてくださった山崎伸子先生はじめ諸先生方、本当にありがとうございます。その愛のムチ=愛情のこもったご指導を当たり前のことのように感じていた学生時代を終えた今、どれほど自分が幸福な時間を過ごしていたのかを改めて実感しています。
    今後、名誉あるこの賞を頂いたということを常に忘れずに、また今の自分自身に頂いた賞ではなく、これからのさらなる飛躍を期待されての賞だということを自覚し、くじけそうになったときにはこれを大きな勇気に引き換えて、日々研鑽していきたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

プロフィール

  • 遠藤真理(チェロ)

    神奈川県出身。3歳よりチェロをはじめる。東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、同大学を首席にて卒業。学内にて福島賞、安宅賞、アカンサス音楽賞、NTTDoCoMo賞を受賞。

    2003年第72回日本音楽コンクールで第1位および徳永賞を受賞、2006年「プラハの春」国際コンクールにて第3位(1位なし)、2008年エンリコ・マイナルディ国際コンクールにて第2位。

    これまでに、アンサンブル金沢、大阪センチュリー、大阪フィル、神奈川フィル、札幌響、新日本フィル、東京シティフィル、東京都響、東京フィル、東響、名古屋フィル、山形響、広島響など国内の主要オーケストラに招かれ、円光寺雅彦、現田茂夫、小林研一郎、井上道義、金聖響、小松長生、飯森範親、ゲルハルト・ボッセ、ジャン・ポール・ヴァレーズ、ルドヴィーク・モルローなど国内外で活躍する指揮者と共演。

    ドイツで行われたキームガウ春の音楽祭、神戸国際芸術祭では世界で活躍中の若手奏者を集めたアンサンブル・ラロとの共演、ザルツブルグにてザルツブルク・ゾリステンとの共演など、室内楽奏者としても活躍中。

    2006年9月には紀尾井ニューアーティスト・シリーズで本格的にリサイタル・デビュー、続いて青葉台フィリアホールにてリサイタル、東京交響楽団と共演する。
    2007年はオーケストラ・アンサンブル金沢の国内ツアー、都民芸術フェスティヴァルに参加。

    2008年には日本フィル、名古屋フィル、広島響との共演に加え、川久保賜紀、三浦友理枝とトリオの活動を開始、2009/2010年シーズンはウィーン室内管弦楽団、プラハ交響楽団との共演など、活動の幅を広げている。

    2008年10月2枚目のソロ・アルバム「サリー・ガーデン – チェロ・フェイヴァリッツ」、2009年3月には川久保賜紀(Vn)、三浦友理枝(Pf)とのトリオ・アルバム「RAVEL」が相次いでエイベックスよりリリースされた。

    これまで臼井洋治、河野文昭、山崎伸子、藤森亮一、クレメンス・ハーゲンの各氏に師事。
    2005年より明治安田クオリティオブライフ文化財団、2006年よりロームミュージックファンデーションの助成を得て、ザルツブルクのモーツァルテウム音楽大学に留学。2007年マギスター課程を満場一致の最高点で卒業。
    また同年神奈川県より文化賞未来賞受賞。

    今後の活躍が大変楽しみな若手チェリストの一人である。

    遠藤真理オフィシャル・ウェブサイト
    http://endomari.com