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齋藤秀雄メモリアル基金賞

第19回 齋藤秀雄メモリアル基金賞

第19回 齋藤秀雄メモリアル基金賞

2021年3月3日 東京にて行われた贈賞式
左より 軽部 重信(当財団専務理事)、広上 淳一氏、片桐 卓也氏、新倉 瞳氏、堤 剛氏、寺西 基之氏、 水野 道訓(当財団理事長)

公益財団法人ソニー音楽財団(所在地:東京都新宿区、理事長:水野道訓、英文名称:Sony Music Foundation)は、第19回(2020年度) 齋藤秀雄メモリアル基金賞 チェロ部門受賞者を新倉 瞳(にいくら・ひとみ)氏に決定いたしました。
尚、指揮部門については今回該当者はおりません。

新型コロナウイルス感染拡大防止の観点より、贈賞式はオンライン上でライブ配信にてとりおこないました。

受賞者

新倉 瞳(チェロ)

選考委員

<永久選考委員>
小澤征爾 氏(指揮者)
堤 剛 氏(チェリスト)

<任期制選考委員(3年)>
片桐卓也 氏(音楽ライター)
寺西基之 氏(音楽評論家)
広上淳一 氏(指揮者)

●楯
●賞金 当該年毎に1人500万円(総額1,000万円)

贈賞の言葉

  • 永久選考委員 堤 剛

    新倉 瞳氏へ「贈賞にあたって」
    永久選考委員 堤 剛

    何と多才なチェリストなのでしょう!これ程多方面にわたる才能に恵まれそれを生かすべく新倉さんはどの道にも積極果敢に取り組まれ、素晴らしい結果を出しておられる稀有な存在です。しかも幅広い活動をしながらもそこには確固たる信念があり、その強い意志にいささかの揺るぎが無いのは本当に立派な事だと思います。常に前向きの姿勢で意欲的に物事を進めて行かれる姿勢は、将来音楽の道を目指す若手音楽家にとってこの上ない指針とモデルになっていることに疑いありません。音楽的才能と個性的な魅力を上手く生かしながら大きく自分の道を歩んで行かれており、私自身常に感服致しております。
    桐朋学園在学中に毛利伯郎門下で頭角を現わし、将来を嘱望される存在になりました。早くから演奏活動を始められ、美しい音色と幅広い表現力で多くの聴衆を魅了されてこられました。一枚目のCDが大変な評判になったのを覚えておられる方も多いと思います。同じころ東京文化会館でリサイタルをされましたが、何と満員のお客様でした!当時からソロ活動のみならず、室内楽活動にも真剣に取り組まれ、室内楽奏者としてかけがえの無い存在となられました。それが現在のクレズマーグループのチェリストとして、またバロック・チェロ演奏家としての高い評価に繋がっているように思います。加えて新倉さんの抜きんでた存在価値の大きな点は、彼女の「チェロという楽器を、クラシック音楽をもっとポピュラーなものにしたい!」という強い意志を持っておられることではないでしょうか。それはリサイタルのプログラミングの内容にも反映されていますし、ご自身の解説文にも良く現れています。
    また、一般的に演奏家の中には喋るのが不得手な方が多いのですが、その面でも新倉さんは新しい境地を開拓され、余りに上手になられたため司会専門のマネージメントにも所属されております。コマーシャルへの出演もその一環となるのですが、そのブランドの選び方も考え抜かれたもので、上手くご自分の演奏に繋げていかれ「大したものだ」と感心致しました。
    また、最近ではステージプレゼンスに大きな位置を占める女性演奏家のステージ衣裳にも積極的に取り組まれており、若い方とのコラボが実を結びつつあると伺っております。留学されたスイスを本拠に海外での演奏活動を拡げられているだけでなく、数々のコンクールや講習会等に参加されて自己を磨く努力を続けておられるのには唯々頭が下がるのみです。
    最近の作曲委嘱活動等を含め、新倉さんのますますのご活躍を期待致しております。此度は本当におめでとう御座いました!

     

    【贈賞式でのスピーチ】

    新倉さん、この度のご受賞、真におめでとうございます。あなたの多岐に渡る華々しい活動は、あなたからの「受賞の言葉」及び「プロフィール」、私からの「贈賞に寄せて」に詳しくございますが、本当に素晴らしい活躍だと思いますし、誠にふさわしい方にこの賞を贈呈できたと思っております。あなたの素晴らしい活躍ぶりは皆様もよくご承知だと思います。

    私があなたのプロフィール等を読ませていただいているうちに、「はっ」と気づいたことがございます。それは、あなたの活動内容が、「パイオニアスピリッツ」という面で、故・齋藤秀雄先生と共通したものがあるのではということです。ご存知のように齋藤先生はチェロの演奏、チェロと指揮の教育活動、そして音楽の早期教育という面で、日本の音楽界を切り開き、牽引していらっしゃいました。あなたの旺盛なチャレンジ精神は、わたくしどものサントリー言葉で言いますと、「やってみなはれ」なのですが、その旺盛なチャレンジ精神は、齋藤先生が歩まれてきた道と通ずるものがあるのではと強く感じ、嬉しく思っております。

    今後ともチェロ界のみならず、音楽芸術文化の発展と充実に向けて、あなたの溢れんばかりの才能を発揮してくださることを期待いたしまして、私からのお祝いの言葉とさせていただきます。この度は真におめでとうございました。

受賞の言葉

  • 新倉 瞳

    新倉 瞳(チェロ)

    【受賞の言葉】

    この度は「齋藤秀雄メモリアル基金賞」の受賞者に選出して頂き、心より感謝申し上げます。
    今回の受賞が、いつも支えてくださる先生方はじめ、応援してくださる皆さまへの恩返しになれば何より嬉しいです。

    私は学生時代、「私たちのチェリスト」というキャッチ・フレーズを頂き少し早めのCDデビューを致しました。それは、世界的な国際コンクール覇者の皆さまのような手の届かない存在ではなく、身近なチェリストの成長をみんなで見守ろうというあたたかなコンセプトのもとでした。しかし、自分ではなかなか自信が持てず、先生方や音楽仲間の助言にも支えられ、少し遅めの留学を決めスイスへ参りました。

    スイスへ渡って10年が経ちますが、スイスで出逢ったバロック音楽や現代音楽、さらにはクレズマー音楽はじめ他ジャンルの音楽家の皆さまとの共演も、最近は国内外場所を問わず増えました。また、舞台への出演や歌舞伎とのコラボレーション、演奏家のためのドレスのプロデュースと様々な他業種の皆さまとのご縁にも恵まれ、一見音楽とは関係ない事柄も大きな音楽的な栄養となっていることを強く感じています。

    齋藤秀雄先生のお考えでもある『アンサンブルの大切さ』。これは音楽にだけでなく、普段の生活にも繋がっていると私は考えています。
    自分なりに地道に音楽人生を歩み続け、年齢を重ねてきたことで、自分がやりたい事と自分に出来る事に少しずつ確信を持てていますが、直接師事した先生方からはもちろんのこと、そうでない先生方や先輩方、時には後輩からも学ぶことが多く、日々成長させて頂いております。

    今回の受賞は、デビュー15周年を迎えるにあたり、いつも一緒に歩んでくださる皆さまと共に、音楽界を盛り上げ幸せの連鎖をシェアしていくための活力となりました。本当にありがとうございました。

     

    【贈賞式でのスピーチ】

    皆様、この度は栄えある「第19回 齋藤秀雄メモリアル基金賞」の受賞者として選んでいただきまして、真にありがとうございました。ソニー音楽財団の皆様、選んでくださった選考委員の先生方、多くの関係者の皆様、そして普段からいつも心と耳で私の音楽を聴いて応援してくださる皆様、本当にありがとうございます。身に余る光栄で、このような賞を(私などが)いただけるとは夢にも思っておりませんでした。昨年この受賞のお知らせをいただいた時から、まだ今この場に立っていても信じられないという気持ちが正直なところではございますが、堤先生の温かいお言葉に、私自身がこの賞に恥じぬようしっかりと精進し続けたいと思っております。

    私自身は15年前にCDデビューという形で皆様の前に登場し認識をしていただいたかと思うのですが、そこから本当にたくさんの方に支えていただきながら、そして今この時でも多くの方に支えられて生きていられると思っております。(そんなたくさんの方の支えがなければ何もならない私なのですが)、感覚的に「素敵だな、好きだな」と思う感情を大事にするとたくさんの方と前向きな気持ちをシェアしていけるのだということを感じています。堤先生より、「パイオニアスピリッツ」とおっしゃっていただいたのは身に余る光栄なことでございますが、そのお言葉に私が何か通ずることができるのであれば、周りの方々に感謝をして恩返しをしていくことが今後の未来に繋がると思っています。人間同士だけのことだけではなく、地球の偉大な美しさのようなものを私達は音にしているのではと考えており、いちチェリストではございますが、日々の喜びや悲しみなどの感情を表現すること、そして虫の声や風の音なども表現できる音楽家でいたいと常々思っております。

    齋藤先生の大切にされている教えの一つである「みんなでアンサンブルをする」ということは、日頃からの会話や関係にも繋がるものだと思います。私は、やはり相手が幸せでいてくれるような自分でありたいと思います。そのようなことも音楽やチェロという楽器を通して日々学んでおります。

    また、多方面の方々とのコラボレーション、演奏家のためのドレスのプロデュースなど楽しくさせていただいておりますが、私自身は目の前にあることを着実に誠実にこなしていくだけだと思っております。本当に素晴らしいこの賞を受賞させていただきましたが、私自身は奢らずにそこを新たな出発点として、ますます努力していけたらと思います。新しいことを始めるために大事にしたいことは、「人に伝わらないような小さな所を大事にする」ことが、結果として大きなものに繋がると信じています。

    本日はオンラインでの贈呈式という形でしたけれども、これもコロナ禍で新しく生まれたことで、皆様にとって初めての試みです。歴史ある音楽を伝えている我々ですが、そのように常に新しいことに直面し、新しいことを共に切り拓いていく…そういったことをあらためてこの場に立っていても感じています。
    今回の受賞を通して、今まで支えてくださった方はもちろん、この受賞をきっかけに私を知ってくださる方々に向けて、しっかりとこれからも頑張ってきたいと思いますので、どうかこれからもよろしくお願いいたします。

    言葉にはしきれない思いもありますが、こちらを私の感謝の言葉としたいと思います。
    本日は本当にありがとうございました。

プロフィール

  • 新倉 瞳

    新倉 瞳(チェロ)

    幼少期をアメリカとドイツで過ごし、8歳よりドイツでチェロを始める。桐朋学園女子高等学校音楽科を経て桐朋学園大学音楽学部を首席で卒業、卒業時には皇居桃華楽堂新人演奏会に出演、御前演奏を行う。その後、バーゼル音楽院ソリストコース・教職課程の両修士課程を最高点で修了。これまでにJan Vymyslicky、毛利伯郎、堤剛、Thomas Demenga、Martin Zaller (バロック・チェロ) の各氏に師事。室内楽を徳永二男、原田幸一郎の各氏に師事。 2014年よりCamerata Zürich のソロ首席チェリストをつとめている。
    2003年いしかわミュージックアカデミーにてIMA音楽賞を受賞し、アメリカ / アスペン音楽祭に奨学生として参加。2007年第28回霧島国際音楽祭にて霧島国際音楽祭賞を受賞。2009年ルーマニア国際音楽コンクール室内楽部門にて第1位を受賞。2015年スイスのベルンで開催されたOrpheus Kammermusikwettbewerbにて入賞。同年、ポルトガルのリスボンで開催されたInternacional Verão Clássico 2015チェロ部門にて第1位を受賞。2016年5月スイス / ルツェルンの高級時計ブランドCarl.F.Bucherer より Pathos Woman Awardを受賞。2017年第18回ホテルオークラ音楽賞受賞。
    2006年8月桐朋学園大学在学中には、EMI Music Japan(現ユニバーサル ミュージック)より「鳥の歌」をリリースし、紀尾井ホールにてデビュー。これまでにEMI Music Japanから3枚のアルバム、Live Notesよりピアニスト佐藤卓史とのライヴCD「ブラームス&ラフマニノフ: チェロ・ソナタ」、F.S.L.レーベルよりアコーディオニスト佐藤芳明とのDuo「魂柱と鞴」、アールアンフィニ・レーベルより、最新CD「ダンツァ」や高橋多佳子、礒絵里子との「椿三重奏団」を含む4枚のアルバムが発売されている。今年秋には5人の作曲家に新曲を委嘱した「委嘱作品集」が同レーベルより発売予定。
    また、チューリッヒを拠点の人気クレズマーバンドCheibe Balaganのメンバーとして2014年から参加し、様々な音楽祭に招かれ、音楽の幅を広げている。 現在はCamerata Zürich のソロ首席チェリストとしてスイスを拠点に活躍する中、ソリスト、室内楽奏者として全国各地でリサイタル、オーケストラとの共演を重ね、司会、番組ナレーション、音楽劇、演奏家のためのドレスM Maglie le cassettoのプロデュース等、活動の幅を広げ音楽の素晴らしさを広く深く伝えようとする姿勢は多くの共感を集めている。使用楽器は、宗次コレクションより貸与されたGiovanni Grancino(1694年製)。
    https://www.hitominiikura.com