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齋藤秀雄メモリアル基金賞

第6回 齋藤秀雄メモリアル基金賞

第6回 齋藤秀雄メモリアル基金賞

財団法人ソニー音楽芸術振興会(英文名称:Sony Music Foundation)[理事長:大賀典雄]は、2002年(平成14年)に、若手チェリスト、指揮者を顕彰すべく「齋藤秀雄メモリアル基金賞」を創設しました。
この度、選考委員会において審議の結果、顕彰年の前年(1月1日から12月31日まで)に活躍された指揮者として下野 竜也(しもの・たつや)氏を、チェリストとして宮田 大(みやた・だい)氏を、それぞれ第6回(2006年度)受賞者に決定、12月7日、都内にて贈賞式が執り行われました。

受賞者

宮田 大(チェロ)
下野竜也(指揮)

選考委員

<委員長>
大賀典雄(指揮者・ソニー株式会社相談役・財団法人ソニー音楽芸術振興会理事長)

<委員>
小澤征爾 氏(指揮者)
堤 剛 氏(チェリスト)

●楯
●賞金 当該年毎に1人500万円(総額1,000万円)

贈賞の言葉

  • 宮田 大氏への贈賞にあたり
    堤 剛

    宮田さん、本当におめでとう。栄えあるこの賞を受けられるのに真にふさわしいチェリストだと思っております。かなり以前よりチェリストとしての評判は耳にしておりましたが、実際に演奏を聞いたのは兵庫県養父市で催されているビバホールコンクールでした。倉田先生が手塩にかけて育てられただけあってしっかりしたテクニックと豊かな表現力を身に着けておられましたが、私が特に感心したのは感性のみずみずしさと、人間性そのものが音となってほとばしり出ている音楽作りでした。その後日本音楽コンクールでも優勝をされ、本格的に演奏活動を始められました。コンクールの目的の一つは素晴らしい未知の才能を発掘し、助け励ます事にありますが、それを体現されたのが宮田さんだと思います。数多く、そして幅広い活動を続けながらも努力、勉強、研究をおこたらず着実に実力をつけ、進歩していられる姿には感服させられます。これからもますます成長され、世界に羽ばたいて行って欲しいと期待致しております。

  • 下野竜也氏への贈賞にあたり
    小澤征爾

    下野竜也氏は、東京国際音楽コンクールやブザンソン国際指揮者コンクールで優勝したのち、多数のオーケストラで客演し好評を博し、また昨年は読売日本交響楽団に、同楽団初のタイトルである「正指揮者」として迎えられました。
    下野氏の受賞が決まり、まずサイトウ・キネンのオーケストラのメンバーに話しましたところ、皆大変な喜びを持って賛同してくれました。とても真面目な勉強家であり、また高い音楽性と企画力、そしてチャレンジ精神を持つ指揮者であることは周囲からも聞き及んでおり、以前から注目をしておりました。
    第6回齋藤秀雄メモリアル基金賞の受賞を機に、今後も指揮者として益々成長され、日本のみならず、世界で活躍されることを期待しております。

受賞の言葉

  • 宮田 大

    宮田 大(チェロ)

    この度は「第6回齋藤秀雄メモリアル基金賞」を受賞することができ、財団法人ソニー音楽芸術振興会の皆様をはじめ、これまでに大変お世話になってきた多くの皆様に改めて感謝申し上げますとともに、大変光栄に思っております。私は高校から齋藤秀雄先生ゆかりの桐朋学園で学び、今ソリスト・ディプロマコース3年に在学し、これまで師事してきた齋藤秀雄先生の「弟子」にあたる諸先生方に、ソロやオーケストラや室内楽、また築き上げられてきた伝統、「若い人の為のサイトウ・キネン室内楽勉強会」や「小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクト」で小澤征爾先生から齋藤秀雄先生の教えを沢山学ぶことができ、幸せと同時にとても感銘を受けました。また偶然にも齋藤秀雄先生が長い間使われていた楽器を使わせていただき、言葉から心に伝わる齋藤秀雄先生の音楽に対する姿勢や伝統はもちろんありますが、何よりも先生と長い間共にされていた楽器を弾かせていただくことにより、弾く者にしかわからない大きな齋藤秀雄先生の真っ直ぐな音楽が伝わってきます。これからもこの名誉ある賞を頂いたことを胸に、多くを吸収し、頑張っていきたいと思っております。

  • 下野竜也

    下野竜也(指揮)

    この度「齋藤秀雄メモリアル基金賞」を受賞させて頂くこととなり、大変光栄に存じます。
    私は、幼少より音楽教育を受けていた訳ではありません。小学校の授業でオーケストラ音楽に出会い、その音楽に何故か惹きつけられて以来、音楽はいつも自分を励まし、癒してくれました。音楽はジャンルを問わず人々に何かしらの「命」を与えてくれるものだと幼い感性ながら、思ったものでした。音楽に興味を持ち始めた頃、自分自身がジュニアオーケストラで演奏していたからか、私の興味の対象は主に指揮者へ向き始めました。小澤征爾先生、秋山和慶先生の演奏がTVで放送され、その力強い音楽、美しい調べがその流麗な指揮から生まれているように見え、益々、音楽の虜になって行きました。その頃から、両先生の師でいらっしゃった齋藤秀雄先生のお名前を知る事となり、会うことの出来なかった偉大な音楽家・教育者を意識する事になりました。決して早くは無い年齢での勉強のスタートでしたので、音楽に触れている事が楽しいと思いながらも、齋藤秀雄先生の仰る、早期音楽教育の必要性という事に、非常に焦りや、恐怖も感じていました。しかし、さすがに年は若くはなれないけれども、あきらめないで頑張って勉強を続けようと心に誓ってまいりました。齋藤秀雄先生と言えば、名著「指揮法教程」を中学生の時に読んでは見たものの、難解過ぎて全く理解出来なかったことが強烈に印象に残っています。その数年後、齋藤秀雄先生門下でいらっしゃった諸先生方に教えを受ける事が出来、ようやくその本に書いてある内容を理解する事が出来ました。同時に確実な技術の習得をする事の厳しさに、自分の能力や、音楽に対する甘い姿勢を棚に上げ、うなだれた事も事実でした。この名著には、当然、指揮法つまり技術的な事が多く書いてありますが、その技術の向こうにある、音楽が本来持つ「歌う心」を私なりに感じました。私は本の向こうにある「本質」に目を向けて行きたいと思います。

    齋藤秀雄先生をはじめとする先駆者の先生方のご苦労はいかばかりのものだったのでしょうか。音楽への厳しい姿勢、深い愛情を持ってこの母国日本へ持ち帰り蒔いてくださった種はそれぞれに花を咲かせていると思います。しかし、恵まれ過ぎている私たち孫弟子世代は、その事を忘れずに、そして今、音楽に接する事の喜びと幸せに感謝し、弛まず精進し、音楽に宿る「命」をしっかりと受け継ぎ、この果てる事のない聖火リレーを次の世代へと繋げて行きたいと思います。

    順序が逆になりましたが、惜しみない愛情で教えてくださった諸先生方、各オーケストラの楽員の皆様をはじめとする素晴らしい音楽家のみなさん、支えてくださった仲間、家族に感謝の気持ちをあらためて申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

    そして、秋山和慶先生がかつてレッスンの後に連れて行って下さった齋藤秀雄先生の墓前に、御礼とご報告に伺おうと思います。

プロフィール

  • 宮田 大(チェロ)

    宮田 大(チェロ)
    1986年生まれ。3歳よりチェロを始める。1995年、第18回栃木県学生音楽コンクール弦楽器部門1位。01年、第1回泉の森ジュニアチェロコンクール中学生の部、03年、第3回高校生以上の部金賞。02年、第7回コンセール・マロニエ21弦楽器部門最優秀賞。04年、第6回全日本ビバホールチェロコンクール第1位。05年、第74回日本音楽コンクールチェロ部門第1位、増沢賞、徳永賞、岩谷賞(聴衆賞)を受賞。「桐朋学園音楽部門創立50周年記念演奏会」において小澤征爾氏指揮で協奏曲を演奏。若い人のためのサイトウ・キネン室内楽勉強会、小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅣ・Ⅴ、JTアンサンブルシリーズ、JTアフタヌーンコンサート、プロジェクトQ、東京アンサンブル、第22回〈東京の夏〉音楽祭2006などに出演。リサイタル、室内楽、Jupiter弦楽四重奏団で活動。また協奏曲を、栃木県交響楽団、セントラル愛知交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団などと共演。「栃木県イメージアップ貢献賞」、「うつのみや市民賞」、「宇都宮エスペール賞」を受賞。これまでに宮田豊、室内楽を東京クヮルテット、原田幸一郎、加藤知子、今井信子の各氏に師事。現在、倉田澄子氏に師事。桐朋学園音楽部門特待生を受け、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコース3年在学中。

  • 下野竜也(指揮)

    下野 竜也(指揮)
    1969年鹿児島生まれ。鹿児島大学教育学部音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部附属指揮教室で学ぶ。1996年にはイタリア・シエナのキジアーナ音楽院でオーケストラ指揮のディプロマを取得。1997年から1999年まで大阪フィルハーモニー交響楽団指揮研究員として、故朝比奈隆氏の薫陶を受ける。朝比奈氏の推薦により、1999年4月の大阪フィルハーモニー交響楽団定期演奏会で、楽壇デビュー。ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容で、朝比奈氏の演奏会の前半を担当した。1999年文化庁派遣芸術家在外研修員に選ばれ、同年9月より1年間ウィーン国立音楽大学に留学、その後も2001年6月まで在籍。
    着実に指揮者としての研鑽を続けてきた下野竜也は、2000年第12回東京国際音楽コンクール<指揮>優勝(第1位)と齋藤秀雄賞の受賞、2001年9月におこなわれた第47回ブザンソン国際指揮者コンクール優勝(第1位)といった、指揮者としての登竜門となるコンクールでの見事な優勝で、一躍脚光を浴びることになる。以降、国内の主要オーケストラとの度重なる客演をはじめ、国外でも、ストラスブール・フィル(仏)、オラデア・フィル(ルーマニア)、ボルドー管(仏)、カンヌ管(仏)、ブザンソン管(仏)、ウィーン室内管、パドゥルー管(仏)などに客演。また、2005年にはラ・フォル・ジュルネ音楽祭(仏・日)に参加、ロワール管(仏)、ポワトゥ・シャラント管を指揮、続いてミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団(伊)への客演と立て続けにデビューを飾り、その多くは再度の客演へと発展している。
    これまでに数多くのソリストと共演しており、その中には、パスカル・ロジェ、キャサリン・バトル、イザベラ・ファウスト、ワディム・グルーズマン、ラデク・バボラーク、フランソワ・ルルー、ライナー・クスマウル、ラルス・フォークトなど、海外著名アーティストも多く含まれる。
    指揮者として、まさに華やかな活躍の道を歩み始めた下野竜也ではあるが、その指揮活動の根底には、デビューしてから一貫して持ち続ける「楽譜に忠実に。作曲家の意図するところをどこまで汲み取り、素直に表出できるか。」との思いがある。
    ドイツ・ロマン派の作品を核にしながらもレパートリーは多岐に亘り、特に現代作品の分野では、ジョージ・ベンジャミン、松平頼暁等の前衛作曲家からその手腕は高く評価されている。オーケストラ作品のみならず、吹奏楽作品、声楽曲、オペラへも意欲的に取り組んでいる。
    2006年11月、読売日本交響楽団の「正指揮者」に就任。「正指揮者」は読売日本交響楽団にとって初めての称号であり、その初代となる下野竜也には、これまで以上に大きな期待と注目が集まっている。

    2007年4月からは上野学園大学音楽文化学部教授に就任。各地でのマスタークラスなど、後進の指導にも力を入れている。
    秋山和慶、黒岩英臣、石井 調、広上淳一、チョン・ミュンフン、ユーリ・テミルカーノフ、レオポルド・ハーガー、湯浅勇治、エルヴィン・アッツェルの各氏に師事。
    2002年、出光音楽賞、渡邉曉雄音楽基金音楽賞受賞。 また、2006年12月には、第17回 新日鉄音楽賞 フレッシュアーティスト賞の受賞が発表された。

    デビューCD大栗裕作品集/大阪フィル(ナクソス・レーベル)は、2003年にワールド・リリースされた。また、2006年7月には、大阪フィルとのブルックナー:交響曲第0番(エイベックス・クラシック)がリリースされた。