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齋藤秀雄メモリアル基金賞

第3回 齋藤秀雄メモリアル基金賞

第3回 齋藤秀雄メモリアル基金賞

2004年12月14日 東京にて行われた贈賞式
左より大賀典雄、沼尻竜典の各氏

財団法人ソニー音楽芸術振興会(英文名称:Sony Music Foundation)[理事長:大賀 典雄]は、2002年(平成14年)に、若手チェリスト、指揮者を顕彰すべく「齋藤秀雄メモリアル基金賞」を創設しました。
この度、選考委員会において審議の結果、顕彰年の前年(1月1日から12月31日まで)に活躍された指揮者として、第3回(2003年度)受賞者を沼尻 竜典氏に決定しました。尚、チェリストについては今回該当者はおりません。

受賞者

沼尻竜典(指揮)

選考委員

<委員長>
大賀典雄(指揮者・ソニー株式会社名誉会長・財団法人ソニー音楽芸術振興会理事長)

<委員>
小澤征爾 氏(指揮者)
堤 剛 氏(チェリスト)

●楯
●賞金 500万円

贈賞の言葉

  • 沼尻竜典氏への贈賞にあたり
    小澤征爾

    沼尻竜典氏は、学生時代から私のアシスタントを務め、その後は国内、海外問わず、数々のオーケストラから高い評価を得ている指揮者です。彼は、特に、作品を『読む』力には特筆すべき点があり、また、オーケストラのみならず、オペラ音楽の水準を高める活躍をされました。

    沼尻氏が、第3回齋藤秀雄メモリアル基金賞にふさわしく、この受賞を期に、今後も更に大きな成長を目指して活躍を続けていくことを期待しております。

受賞の言葉

  • 沼尻竜典(指揮)

    このような権威ある賞を、最も尊敬するお二人の先輩に続いていただけるという栄誉を、大変嬉しく思います。

    日本のオーケストラ、オペラを取り巻く環境は、まだまだ厳しいものがあります。その中で夢を失わずに、活動を続けていくことは、本当に大変なことです。そうした演奏団体の皆様の支えがあってこそ今日の私があるということを考えると、感謝の気持ちで一杯です。また、デビュー以来私を支えてくださった共演者、演出家、舞台スタッフ、主催者、スポンサー、放送局、音楽事務所などの皆様、時には厳しいお叱りをいただいたジャーナリスト、批評家の皆様、そして私の演奏会に来場してくださったり、CDをご購入いただいたりしたお客様に感謝を捧げたいと思います。今後、私が精進していく事が皆様へのご恩返しとなればと思います。

    齋藤秀雄氏とは生前一度もお会いする事が出来ませんでしたが、氏の教育に対する情熱や理念に対しては大変共感を覚えます。教育や、私より若い世代の音楽家のために力を尽くすことも、これからますます考えていかなければなりません。振り返りますと、私自身は幸運なことに、非常に良い先生方に恵まれて来ました。これまで自分が蓄えてきたものが、次の世代のためになるとすれば、こんなに嬉しいことはないでしょう。

    今後、この賞の受賞者として恥じない活動をしていく責任は大変大きなものがあります。あと数十年では足りないくらい、やりたいことも沢山あります。これからも引き続き皆様のご支援をいただければ幸いです。

プロフィール

  • 沼尻竜典(指揮)

    沼尻 竜典(指揮)

    1964年東京生まれ。桐朋学園大学において、指揮を小澤征爾、秋山和慶、尾高忠明、作曲を三善晃、ピアノを徳丸聡子、藤井一興の各氏に師事。

    大学在学中から新日本フィルハーモニー交響楽団で小澤征爾氏のアシスタントとして活躍。また同時期、NHK交響楽団および東京フィルハーモニー交響楽団で鍵盤楽器奏者として数多くの演奏会に出演。1989年渡独後はベルリン国立芸術大学にて、ハンス=マルティン・ラーヴェンシュタイン教授に師事。

    1990年9月、第40回ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。以後トゥールーズ・キャピトル劇場管弦楽団、パリ室内管弦楽団、チューリンゲン・フィル、ワイマール州立歌劇場管弦楽団、アウグスブルク・フィル、ノーザン・シンフォニア、オーデンセ交響楽団、ハイファ交響楽団などを指揮。また1998年にはミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団を指揮してエヴィアン音楽祭に出演し成功を収めるなど着実にヨーロッパでの実績を重ねつつある。1998年10月にはロンドン交響楽団にデビュー、1999年1月に再客演を果たし、その際に演奏曲目のひとつであるグバイドゥーリナの作品をロストロポーヴィチのソロと共にEMIにレコーディングした。その他にも世界のトップ・アーティストとの共演も数多く、A.S.ムター、F.=P.ツィンマーマン、Z.コチシュ、B.=L.ゲルバー、J.=P.コラール、S.カツァリス、M.ベロフ、T.バルト、K.ライスター、R.コロ等といった名が挙げられる。

    国内では1991年「若い芽のコンサート」でNHK交響楽団を指揮してデビュー。その後定期的に全国の主要オーケストラを指揮し、いずれも好評を得ている。

    1993年から1998年まで新星日本交響楽団の正指揮者を務める。作曲、ピアノ、指揮の総合的な豊かな才能を活かし、定期公演をはじめ、独自の企画に臨み、オーケストラの発展に寄与した。特に94年グレツキ≪悲歌のシンフォニー≫日本初演、95年ヨーロッパ・ツアーの成功、ワーグナー≪ワルキューレ≫第1幕、96年メシアン≪トゥーランガリラ交響曲≫、97年マーラー交響曲第6番、シェーンベルク≪期待≫、98年ラヴェル≪ダフニスとクロエ≫、マーラー交響曲第2番『復活』の成功は特筆される。引き続き1999年より東京フィルハーモニー交響楽団正指揮者に就任、古典からコンテンポラリーまで意欲的なプログラミングで高い評価を得た。

    1995年、自らの呼びかけで結成されたトウキョウ・モーツァルトプレーヤーズと共に、三鷹市芸術文化センターを拠点に活動を開始。EXTONレーベルへ「ベートーヴェン交響曲全集」の録音も行っている。

    またオペラ指揮者としての活躍も期待されており、97年≪後宮からの誘拐≫でデビュー以後、≪フィガロの結婚≫、98年≪シンデレラ≫、≪セヴィリアの理髪師≫、99年≪ラ・ボエーム≫、≪ヘンゼルとグレーテル≫、2000年≪愛の妙薬≫を指揮。また98年に開館したびわ湖ホールでの青少年向けオペラの指揮も担当している。近年では2001年2月オペラコンチェルタンテ・シリーズでのストラヴィンスキー≪夜鳴きうぐいす≫、ツェムリンスキー≪王女様の誕生日≫(日本初演)、2002年2月ブゾーニ≪ファウスト博士≫(日本初演)等を指揮、いずれも絶賛されている。

    現代音楽にも深い理解と造詣を持ち、リゲティ、ルトスワフスキ、ベリオ、デュティユー等の日本初演作品を手掛け、その緻密な解釈と的確な指揮が作曲者自身にも「完璧な解釈」と高く評価された。CDでは、武満徹の作品集(DENON)、日本作曲家選輯(NAXOS)などをレコーディングしている。

    近年も名古屋フィル、日本フィル等国内主要オーケストラの定期演奏会を指揮するほか、ベルリン・シンフォニカー、デュッセルドルフ交響楽団、ダルムシュタット国立歌劇場管弦楽団、チャイナ・フィル等への客演、ベルク≪ルル≫全3幕完成版の日本初演など意欲的な活動を続けており、2004年5月には武満徹≪セレモニアル≫、メシアン≪トゥーランガリラ交響曲≫のプログラムで名古屋フィルハーモニー交響楽団とともにオーストリア、ドイツ五都市へ演奏旅行を行い成功を収めた。

    2003年4月より名古屋フィルハーモニー交響楽団常任指揮者に就任。同時に日本フィルハーモニー交響楽団正指揮者にも就任。1991年第1回「出光音楽賞」、1999年第7回「渡邉暁雄音楽基金音楽賞」、2001年第51回「芸術選奨文部科学大臣新人賞」をそれぞれ受賞。

    (2004年5月現在)